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Online Racing Salon Vol. 18 Hiroo no Reiwa 桑田牧場、桑田社長と共に
21.09.17 - Racing Salon

米山:さて、今回は、桑田牧場の桑田美智代社長をお招きしてお話をお伺いしたいと思います。

米山:よろしくお願いします。

桑田美智代社長(以降、桑田):はい、こちらこそよろしくお願いします。



米山:先日はドグマのデビュー勝ち、ありがとうございました。

桑田:こちらの方こそ、ありがとうございました!


ドグマ

米山:直線で豪快に差し切って先頭ゴール。見事に新馬勝ちを収めてくれましたね。

桑田:当歳の頃の大人しい感じから、しっかりと調教を重ねてくれて立派になりました。誇らしいですね。素晴らしい切れ味のある走りでデビュー勝ちをしてくれて、とても嬉しかったです。これからもまだまだ成長していくと思いますし、強い馬になってくれると信じています。


ドグマ

米山:それでは、いくつか質問をさせていただきます。大丈夫ですか?

桑田:変なこと聞かないでくださいね(笑)


ドグマ

米山:は、はい、大丈夫だと思いますよ(笑)

米山:それではまず、生産馬のドグマ、タレントゥーサ、ウインアルエット'20、アスカビレン’20について。それぞれ生まれた時や幼少期の特徴、印象、また、同世代の群れの中ではどのような存在だったのかについても教えてください。


ドグマ デビュー前

桑田:ドグマは、本当に大人しくて、ある意味、男らしくない感じ(笑)あんなに凄いレースをするとは思わなかったくらい。当歳の頃からすごいスピードで成長してくれて、男らしくいい馬になってくれましたね。タレントゥーサはたまにデコちゃんとも呼ばれていて、でこっぱちでおでこがカワイイですよね。ウインアルエット’20は大人っぽくてしっかりした感じ。アスカビレン’20はつんと澄ましていて「わたしは他の仔たちとは違うのよ」的な雰囲気を出していました(笑)


タレントゥーサ

米山:ちなみに、各馬は牧場では何と呼ばれていたのでしょうか?

桑田:そうですね、ドグマは、ショウナンカラットの2019なので、カラットと呼んでいましたね。タレントゥーサはタレント、別名デコちゃん。ウインアルエット'20はウイン、アスカビレン’20はなぜだかアーちゃんでしたね(笑)


ウインアルエット’20

米山:基本的に競走馬名がつく前は、お母さんの名前の一部が呼び名になるという感じですね。

桑田:そうですね、アーちゃん以外はそうかもしれないですね(笑)


アスカビレン’20

米山:桑田社長を始め、特にお世話をしている担当者の方々を馬は認識してくれていて、集牧の時(放牧から連れて帰る時)など、その名前で呼ぶと反応してくれるものでしょうか?

桑田:名前を完全に認識しているかは分かりませんが、呼んだら大体は来てくれますね。集牧の時は、人間の姿を見たら、放牧が終わりなんだと思うのか、餌を食べさせてくれるからか分かりませんが、ゲートに寄ってきます。どこの牧場さんでも同じだろうと思うのですが、強い馬の順番でゲート並んでいますね。強さに関心のない馬は、遠目で様子を窺っていますが、その仔の名前を呼んだら、大体近寄ってきます。

米山:本当に面白いエピソードですね。人間と同じですね。

桑田:そうですね、あとは、よく寝る子で、起こしてもなかなか起きないとか、大食漢で食事の時間になると、最初に飼い葉桶に寄ってくるとか、前掻きをしてお代わりを要求するなどもありますね。


桑田牧場

米山:それぞれ好きな食べ物は何かありましたか?おやつとかは与えないですよね(笑)

桑田:立派な競走馬になるための餌をあげていますので、おやつはないです(笑)リンゴとかニンジンとかあげないのかとよく聞かれるのですが、実際、ニンジンが嫌いな馬も多いです。馬は甘い物が好きで、角砂糖はどの馬も好きですね。でも当歳の仔達はお母さんのお乳が一番好きだと思います(笑)

米山:性格的には父母、兄姉と共通する部分も出てくるものでしょうか?

桑田:特に性格は母に似てくることが多いかも知れませんね。気が強いとか頑固とか、濡れたところは歩かないとか。撮影の時とかに気が強い馬はちゃんと立ってくれなかったりしますね。でも、気が強いにもかかわらずアーちゃんは、ビシッと立つんです。すごいですよね(笑)

米山:他の牧場と比べて、力を入れているところや特に牧場として重要視して取り組んでいること、ここだけは負けないというところはありますか?

桑田:昼夜放牧や人との関係性、例えば、広大で良い土壌で自由に伸び伸びできるような環境を与えたり、牧場スタッフも極力馬に話しかけるようにしていますし、なるべく触れ合うようにスキンシップにも気を付けています。後は企業秘密ですかね(笑)


桑田牧場

米山:桑田牧場さんには、とても素晴らしい繁殖牝馬がたくさんいますが、配合はどのようなことを意識されていますか?

桑田:血統の配合はもちろん重要ですが、仔出しの感じを見て、例えば母が小さい仔しか出さない場合、小さく生まれないような配合を選び、距離を延ばしたい時には、距離が延びるような配合を、もう少しスピードが欲しい場合にはスピードが出るような配合で補えるように考慮しています。それと、近年走っていたり、人気のある種牡馬、トレンド、流行りもあると思います。あとは「勘」です(笑)


桑田牧場

米山:生産馬を広尾TCにご提供いただける際の基準や考え方、プロセスなどを教えてください。

桑田:いい馬をご提供させていただくことを第一に考えています。その中でも人気の種馬でかつ走りそうな馬を選定してお勧めしています。自信を持ってクラシックに出せるような馬を提供させていただいております。

米山:カタログを通して出資馬を決める際に、会員の皆様はどのように見たら良いのでしょうか。生産者の立場でアドバイスを頂けますか。

桑田:もちろん皆様好みはあると思います。私が馬を見る時、立ち写真を見て、全体的な雰囲気、首指し、トモの筋肉のバランスの良い馬が好きなのですが、顔も大事だと思っています(笑)


桑田牧場

米山:最後に広尾サラブレッド倶楽部の会員の皆様に一言お願いします。

桑田:いつも大変お世話になっております。うまい具合に結果が出なかったりとご迷惑をお掛けしていましたが、先般、ドグマが新馬を勝ってくれたりと、これから期待の馬達がデビューしていきます。自信を持ってご提供させていただいていますので、会員の皆様、ご出資者の皆様も桑田牧場生産馬も応援いただけたら嬉しいです。引き続き、よろしくお願いいたします。

米山:これからデビューを迎える生産馬の今後の活躍も期待したいと思います。

桑田:そうですね。まずは一つ勝って、クラシック路線に乗ってくれることを楽しみにしています。

米山:本日はありがとうございました。

桑田:ありがとうございました。